2004年5月30日。3歳サラブレッドの王者決定戦、東京優駿。
昨年のダービーの翌週からここを目指して走ってきた2歳馬たち。
道の途中の数々の難関。
小倉2歳S。札幌2歳S。朝日杯FS。ラジオたんぱ杯2歳S。きさらぎ賞。弥生賞。青葉賞。京都新聞杯。
そして、皐月賞。NHKマイルカップ。
弱者は振り落とされ、最前線に生き残った精鋭18頭が
府中の杜2,400m、一生に一度、生涯最高の大一番に挑みます。
マイル王から最強を目指す。地球生まれのキングマンボ産駒、死の淵など知らずとも、力を増してゆく。
弥生のトライアルで辛酸を舐めるも、青葉賞勝ちの実績を持って、最強の座へ”コンティニュー”。
「煮え切らない」厩舎と「煮え切らない」騎手で挑む。心の叫びは届くのか――
秋に骨折。青葉賞で復活し、名手を鞍上に、ビッグへの道を目指す。
出走権を手に皐月賞勝ち。将来目指すはメジャーへの道。
理由などいらない。素晴らしき旅に大きな思い出を。
欲しいのは弥生賞でも皐月賞でもない。全てはここに焦点をあわせるための必須事項。
2歳に大本命を倒した光線。今こそその輝きを再び放つ時。
クラシックの勲章へ。マイネルの名の下に集団で結束して挑む、最高の舞台。
伯楽の業…波乱…etc…
そして―――――
ホッカイドウ競馬の夢を賭け、地方競馬の意地を賭け、
「巨大な」舞台に堂々と立つ、コスモバルク。
それでは、第71代ダービー馬となるのはどの馬か、予想します。
馬番 | 馬名 | 馬齢 | 騎手 | 予想 |
---|---|---|---|---|
1 | (父)マイネルマクロス | 牡3 | 後藤浩輝 | |
2 | (父)(市)ヴンダー | 牡3 | 柴田善臣 | |
3 | マイネルブルック | 牡3 | 藤田伸二 | |
4 | ダイワメジャー | 牡3 | M.デムーロ | ▲ |
5 | ハーツクライ | 牡3 | 横山典弘 | |
6 | (市)アドマイヤビッグ | 牡3 | 武豊 | |
7 | マイネルデュプレ | 牡3 | 内田博幸 | |
8 | (市)メイショウムネノリ | 牡3 | 福永祐一 | |
9 | [地]コスモバルク | 牡3 | 五十嵐冬樹 | ○ |
10 | フォーカルポイント | 牡3 | 田中勝春 | |
11 | グレイトジャーニー | 牡3 | 小牧太 | |
12 | (市)キングカメハメハ | 牡3 | 安藤勝己 | ◎ |
13 | スズカマンボ | 牡3 | 武幸四郎 | |
14 | キョウワスプレンダ | 牡3 | 佐藤哲三 | |
15 | コスモサンビーム | 牡3 | 四位洋文 | |
16 | (市)ホオキパウェーブ | 牡3 | 岡部幸雄 | |
17 | ハイアーゲーム | 牡3 | 蛯名正義 | △ |
18 | ピサノクウカイ | 牡3 | D.オリヴァー | × |
ダービーの2,400mはオークスのそれとは違い、力が全てを支配する2,400m。決してごまかしはききません。人馬、仕上げ、全てを問われます。
その強さ、磐石。戦跡は6戦5勝。鞍上のアンカツも府中の馬場を手の内に入れてきた感があります。この馬を外さずして今年のダービーは考えられないと思います。「ダービージョッキー・アンカツ」誕生へ障害もプレッシャーも何もありません。◎:キングカメハメハ。
地方馬初のクラシック制覇。正直、自分としては一番勝って欲しいのはこの馬です。中央の芝での敗戦は前走、皐月賞で前のダイワメジャーを捕まえきれなかっただけ。中央の壁に当たったとは言えません。血統だけでは図ることのできない、底力をここで見せてください!○:コスモバルク。
今回の有力勢で、プレッシャーからもっとも解き放たれた存在。馬自身は掴みきれないところもありますが、「ダービーを何度でも取りたい」デムーロの2年連続だって十分にありえます。アンカツ、五十嵐JK、ホッカイドウ競馬の夢を打ち砕く可能性も―――複雑な心境ですが、3番手で推したいと思います。▲:ダイワメジャー。
青葉賞勝ちは2年連続で切って痛い目にあったので、今回はガチガチで押さえてしまいます。ラジオたんぱ杯、弥生賞でコスモバルクに完敗していることより、評価を下げました。そして蛯名JKには自分がダービーを目指すことだけを考えて乗って欲しいと思います。コスモバルクを意識しすぎないように願って…△:ハイアーゲーム。
最後に穴馬です。最初はマイネルマクロスの逃げがいいかなと思いましたが、狙いを変えます。プリンシパルSを快勝した馬。未知の魅力に賭けてみましょう。この馬もSS産駒です。今年の別路線は侮れない存在、そんな気がします。×:ピサノクウカイ。
馬連予想は次の6点でいきます。
4-12 | 15000pts |
9-12 | 30000pts |
12-17 | 20000pts |
12-18 | 10000pts |
4-9 | 15000pts |
9-17 | 10000pts |
第71代ダービー馬として歴史に名を残す馬はどの馬か、今はただ、心待ちにしています。惨めな結果だけは見たくありません。波乱は必要ないです。強い馬が結果を残してくれれば―――当たり前のようで、何よりも難しい話ですが。
着順 | 馬番 | 馬名 | Kogaマーク予想 |
---|---|---|---|
1 | 12 | キングカメハメハ | ◎ |
2 | 5 | ハーツクライ | |
3 | 17 | ハイアーゲーム | △ |
正解:馬連 5-12 24.9倍 | |||
---|---|---|---|
4-12 | 15000pts→0pts | ||
9-12 | 30000pts→0pts | ||
12-17 | 20000pts→0pts | ||
12-18 | 10000pts→0pts | ||
4-9 | 15000pts→0pts | ||
9-17 | 10000pts→0pts | ||
残り:-300,000pts |
5月30日午後3時40分・第71回日本ダービーのスタート。各馬が無難にスタートを決め、皐月賞で出遅れたマイネルマクロスも押してハナへ立ちます。そのまま暴走気味に先頭を駆け抜けるマイネルマクロス。それについて行くのがメイショウムネノリ、そして何とコスモバルクも早め3番手。折り合いを欠き気味にハイペースを追っかけいく格好。その後ろにダイワメジャー。キングカメハメハは中団。それをマークするようにハイアーゲーム、後方からハーツクライといった展開。4コーナーで力尽きていくマイネルマクロスを横目に、抑え切れないコスモバルクが、北海道の夢を背負い、ダービーの直線、先頭に立ちます!そして―――
コスモバルクの内から伸びてくるダイワメジャー。
外目で先頭に立とうとするハイアーゲーム、それを追撃するキングカメハメハ。
残り200mで力尽きるコスモバルク。
その外で、他から抜け出したハイアーゲームとキングカメハメハの一騎打ち。
次元を超えた戦い。
抜け出そうとしたダイワメジャーも、この2頭に突き放される。
後方から追い込んでくるスズカマンボ、キョウワスプレンダ。
ついにはハイアーゲームを競り落とし、死力尽くして粘ろうとするキングカメハメハ。
そして、後方から猛然と追い込んできたハーツクライ。
キングカメハメハがゴールを駆け抜け、第71代ダービー馬の称号を得た瞬間。
ハーツクライは届かず2着。
ハイアーゲームは3着。
ダイワメジャーは力及ばず、6着。
北海道の、地方競馬の、全国の生産者の期待を背負って頂点の戦いに挑んだコスモバルクはハイペース先行がたたり、直線力尽き、8着と沈みました。
松田国英調教師――無理強いをして、クロフネやタニノギムレットを故障させたという、マイナスイメージも強かったです。しかし、今日のキングカメハメハを見て確信しました。「強い」馬を作ることに関しては天才的な腕を持っているのだと。それが唯一解というわけでは無いですが、「強い」を目指した「結果」を目の当たりにして、凄さが分かった気がします。そして、ダービージョッキー・アンカツの誕生。昨年の中央競馬移籍以降、正に飛ぶ鳥を落とす勢い。当たり前のことが当たり前にできる。圧倒的強さで勝ったキングカメハメハですが、それをレースの場で実現させたのはもちろん、アンカツの「冷静」「平常心」で騎乗した結果だと思います。
走破時計は歴代レコードの2:23:3。まさに「力」の支配するダービー。そして、悲しきかな、力なきもの、力はあれど展開に恵まれなかった者が次々と陥落してゆく、あまりに過酷、しかし頂点を極めるにふさわしい、なダービーになったと思います。僕は今回、第71代ダービー馬の誕生を目撃するため、東京競馬場まで遠征してきましたが、それぞれの夢のぶつかり合った戦いを目で確認して――――やっぱり、
ダービーってすげえ!
って感じで…。全体が一体になって盛り上がった、最高のレースだったと思います。
―――予想さえ当たっていれば(笑)
――実はもう一つ、いや二つ、残念だったことがあります。
過酷とも言えるハイペース、ハイレベルの戦い。それが生んた弊害が、ありました。
直線で故障発生。競走中止、予後不良処分が取られたマイネルブルック。東京の広い馬場で期待されましたが、現場で聞こえた「悪夢のアナウンス」。勝ち馬の強さにばかり目が行ってましたが、ふと直線を見ると、そこに立ち尽くしていました。きさらぎ賞の内容が強かったのを覚えています。無事に走り終えることすら許されなかったという結果には、やり切れないものがありました。心からご冥福をお祈りします。
そして、「マイル向き」と言われながら果敢にこの舞台へチャレンジし、12着で入線したものの、ゴール後に骨折が判明した、2歳王者コスモサンビーム。朝日杯で攻略不可能と言われたメイショウボーラーを最後差しきった、あの末足はまだ記憶に新しいところです。期待できる素材だっただけに、非常に残念です。今後、どういう道を歩むかは分かりませんが、見守っていきたいと思います。
限界を超える戦い。夢を掴んだもの。夢破れたもの。しかし、夢破れても、馬が無事なのならば次があります。菊花賞を含めた、秋以降、そして古馬になっても変わらない活躍を――無事にレースを終えた16頭には、未来を絶たれたマイネルブルック、大きな挫折に直面したコスモサンビームの分まで頑張ってほしいと思います。特にコスモバルクには最後の1冠を、と期待をしています。
※今回、ダービーを見るために東京まで行ってきましたが、この模様を近々レポートにしてこのコーナーか別コーナーで紹介したいと考えています。前日の中京競馬も含め、ネタには困らない2日間でしたので、楽しみに待っていてください。