(前回までのあらすじ) 宝塚記念をサクッと外したKogaは、『洗脳ドラッグ』で洗脳された玄澄(げんちょう)・凪砂(なぎさ)の二人にナイフで刺され、意識を失っていた。

…ようやく意識が戻ってきた。

＊：「やっとお目覚めね。宝塚記念から2ヶ月近くになるわよ。」

なんだ？この声の主はどこにいる？一体、誰なんだ？

＊：「あら、忘れたの？私は何度も出てきた大澄春香(おおちょう はるか)よ。いや、正確に言えば違う。大澄春香本人がこのたび10度目の結婚を果たして、しばらく専業主婦で遊びに行けなくなっちゃったから…今日は大澄春香の代わりに電人『ハル』が相手してあげる。」

電人…ハル？

電人・ハル：「そう。大澄春香のクローンといったところかしら。私は0と1の世界に生きる電人であり、この世界では実体を持たない。だからこの世界で活動するには、『洗脳ドラッグ』という名の電子プログラムを使って、他の者を操るのよ。」

玄澄：「…ということだ。おお、何故だろう。急にボールが来たのでKogaに向かって蹴りたくなったぞ！」

(バキッ！)

ぐわ。

凪砂：「…ええ、ありえないくらい気分がいいわ。だから、急にホームベースが投げたくなっちゃった。」

(ヒュン！)

あだだだ！ありえない！何しやがる！

電人・ハル：「今の二人に何を言っても無駄よ。私の忠実な手駒だから。じゃあ、札幌記念予想に行きましょう。夏競馬全滅のKogaに当てられるとは思ってないけど。」

ほっとけ！

サマー2000シリーズの第4戦にもなっている、今年の札幌記念。一流とまではいきませんが、クラシック路線・古馬路線、牝馬路線から有力な馬が集まりました。札幌競馬場は得手不得手が顕著に出る競馬場です。過去、ダービー馬が参戦して3歳馬に敗れたり、函館記念惨敗から連対した例もあり、荒れることもしばしば。但し、ここで勝負できる馬は、ローカル以外の重賞で好走歴がある馬に限られるようです。

◎：ファストタテヤマ。昨年の2着馬から。しかも、昨年は3着だった前哨戦のみなみ北海道Sを今年は快勝。勝ち方も強く、本格化(？)の兆しかもしれません。春GIでディープインパクトを相手に戦ってきた経験はここでも生きるはずです。○：シルクフェイマス。そのディープインパクトを相手に戦ってきた馬をもう一頭。かつて上がり馬として5連勝の快進撃を続けていましたが、その始まりはここ札幌でした。五十嵐冬樹JKが新味を引き出してくれるかもしれません。▲：レクレドール。昨年の2番煎じな感も否めませんが、この馬にはとにかく札幌の舞台が合います。ここに出てくるくらいの牝馬は好成績を残している傾向があり、ここでも注目します。「夏は牝馬」の基本に立ち返って。△：マチカネキララ。人気どころですが、実力で抜けているかというと、そうではないと思います。出走数自体が少なく、未知の力に賭けられる余地のある分、押さえとして必要だと思います。(実は本来狙おうとした馬が出走取消になってしまったための代わりみたいなところも…)×：マイソールサウンド。不振続きですが、振り返ってみれば今回のメンバーでも屈指の重賞ハンター。走るときは条件問わずいきなり好走する傾向にあり、大穴で一応警戒します。

函館記念とここを連覇、という話を耳にしません。函館記念の勝ち馬エリモハリアーはここでは「買ってはいけない」地雷馬と見ています。また、こちらも上位人気が予想されるアドマイヤムーンも1,800mまでの馬。3〜4着だと思います。3連単のみ、買い目に入れます。3着紐警戒はそれ以外にセフティーエンペラ、マヤノライジンまで。

玄澄：「…ファストタテヤマとアドマイヤムーンのワイド1点…」

凪砂：「…2枠から枠連総流し8点…」

電人・ハル：「愚かな！どちらもKogaの本命に丸被りじゃない！そんな予想は許しません！全く、ちょっと目を離したら。予想は、私が決めましょう。」

玄澄：「…スプリングシオンとアドマイヤムーンのワイド1点…」

凪砂：「…1枠から枠連総流し8点…」

おい！結局どちらもお前が「電人・ハル」だからって「スプリング」シオンに絡ませてるだけじゃないか！

電人・ハル：「予想の当たらない奴に言われる筋合いは無い。お前も洗脳してやろうか？ああん？」

ぐ…ぐわぁ、洗脳され…る…

電人・ハル：「しかし、全員がファストタテヤマに絡んでいるという予想対決はある意味見ものではあるな。ここは一つ泳がせて、結果を楽しむというのも有りだ。そして私は1 スプリングシオンの複勝…そして、私の中の精巧な競馬予想プログラムがはじき出した結果：3連複軸2頭・8 マチカネキララ 14 エリモハリアーを軸に総流し13点ということで行ってみよう。で、Kogaのせいでファストタテヤマが負けたらKogaを洗脳の罰ゲームだ。」

いや、すでに洗脳され…気分上々→→！

1番人気の貫禄というべきか。これこそが武豊の手腕なのか。アドマイヤムーンが直線外から鋭く伸びを見せ、古馬相手に貫禄の勝利。2着には紅一点・レクレドール、3着にはマチカネキララ。レクレドールの人気が低かったために小波乱となりました。

コーナー開始以来いろいろな形でプッシュし続けていたファストタテヤマを今回ついに初の本命にしてみましたが…結果は6着。4コーナーでアドマイヤムーンに前をふさがれる形になり、立ち遅れたのが致命的でした。最後は伸びているだけに、惜しい競馬でした。ていうか、鞍上、武豊の弟(笑)

電人・ハル：「やってくれましたね。

リバースゴッドの貫禄を見せてくれました。おかげで私の部下が二人ともあおりを受けました。そのお礼をしなくてはいけません。」

玄澄：「毎回毎回俺の真似をしやがって。どれだけ俺が辛い思いをしてきたか。」

凪砂：「…ありえない。全部Kogaのせいだ。」

電人・ハル：「では、そのお礼をしましょう。」

…ち、ちくしょう。こんなはずじゃなかったんだ！

玄澄：「この青いハンカチで顔を拭き拭きしてやろう。すると…」

(ゴシゴシ)

うわ、気持ちいいなって、あれ？視界が―――うわあっ！

凪砂：「…ようこそ。私達の世界へ。」

電人・ハル：「このハンカチで顔を拭いたことにより、Kogaは私の開発した最新の電子ドラッグに感染しました。もはやお前は私の意のまま。」

え？なんで俺がそこにいる？まさか！

電人・ハル：「Kogaよ。お前は『電子ドラッグ』によって生み出された私の分身によって、本体から追い出されたのです。」

くそ、俺の本体を返せ！このままじゃ下半期ＧＩは幽体離脱状態で予想しなくちゃいけない！

電人・ハル：「HPは残っているのだ。取り返したくば、競馬予想で勝負するがいい。」

そんな、秋まで…このままかよ！

電人・ハル：「アドマイヤムーンが勝ったからだろうか、夜空にはキレイな月が出ているではないか。月の魔力は人を狂わせる。電子ドラッグで乗っ取ったKoga、そして玄澄、凪砂共々、夜の札幌・スス●ノに狂い咲きと行こうではないか。

うわぁ―――俺よ、どこへ行く！？ちくしょう…このリベンジは必ず！