中山に静かに聞こえる、魂の音。
病に克服して、この1年羽ばたき続けた天馬。
2着、3着、もどかしい結果が続く、昨年の英雄。
巨大な力をもてあまし、もがき続ける、北海道の星。
春の天皇賞、殆どの観客はこの馬の手の平の上で踊らされていた。
天皇一家に舞い降りたロマンス。それを祝福するが如く―――
急成長の零細血統、大舞台で爆発するか?
有馬記念では5枠、5枠、5枠、5枠。4度目の正直に心躍る引退戦。
追い込んでも追い込んでも届かない勲章。心の底から叫び続けた1年。
2つ隣の大先輩の影で、怪人ファントムの如く息を潜めて一発を狙う。
その名は正に2005年JRAキャッチフレーズ「BIG TIME」の象徴。目指すは大金星。
大御所去りしターフに、新たなパートナーを迎えて、賽を投げる。
大統領の天下統一。人民の、人民による、人民のために、走り続ける。
菊花賞馬。パリのエスプリ。本年海外遠征2勝の調教師。三角の絆は誰にも破れはしない。
遥かなる頂点への道。かつて牝馬三冠馬を倒した「大物喰い」は、牡馬三冠馬をも飲み込むか?
そして――――そんな、激戦を戦い抜いてきた
個性的な古馬に挑むは、今回たった1頭の3歳馬。
それと共に、シンボリルドルフ以来21年ぶりの無敗の三冠馬。
ディープインパクト。
かつてない衝撃「Forth Impact」――無敗の有馬制覇へ体制は整いました。
2005年を締めくくる、精鋭16頭。
第50回有馬記念、それでは予想します。
馬番 | 馬名 | 馬齢 | 騎手 | 予想 |
---|---|---|---|---|
1 | (父)マイソールサウンド | 牡6 | 本田優 | |
2 | サンライズペガサス | 牡7 | 蛯名正義 | |
3 | ゼンノロブロイ | 牡5 | K.デザーモ | |
4 | [地]コスモバルク | 牡4 | 五十嵐冬樹 | |
5 | スズカマンボ | 牡4 | 安藤勝己 | |
6 | (市)ディープインパクト | 牡3 | 武豊 | ◎ |
7 | ヘヴンリーロマンス | 牝5 | 松永幹夫 | △ |
8 | (市)グラスボンバー | 牡5 | 勝浦正樹 | × |
9 | (外)タップダンスシチー | 牡8 | 佐藤哲三 | ○ |
10 | ハーツクライ | 牡4 | C.ルメール | |
11 | オペラシチー | 牡4 | 中舘英二 | |
12 | ビッグゴールド | 牡7 | 柴田善臣 | |
13 | コイントス | 牡7 | 北村宏司 | |
14 | リンカーン | 牡5 | 横山典弘 | |
15 | (父)デルタブルース | 牡4 | O.ペリエ | ▲ |
16 | (父)オースミハルカ | 牝5 | 川島信二 |
当然のごとく、中心はディープインパクト。同世代では性能の違いを見せ続けてきました。しかし、たった1度「クビ差」という際どい差の競馬になったのが弥生賞。舞台は中山2,000m。ディープインパクトにとって、中山は得意な舞台では無いのではないでしょうか。今回、他の15頭は全て古馬。もしかすると、ディープインパクトに勝つ馬が出るかもしれません。
とはいえ、やはり無敗の三冠馬を本命に推さないなんて自分には考えられません。走りからからして、他の馬とは一線を画す「名馬の走り」。しかも2kgのアドバンテージを持ち、ここで来ないとは考えられません。菊花賞の後、ここ1本に絞り、万全の体制。2005年を勝利で締めくくって欲しいと思います。その思いをこめて、◎:ディープインパクト。
そのディープインパクトを倒す筆頭格ですが、この馬と同じ位置で勝負しても勝てないと思います。後ろからなんて論外。4年連続5枠から。ここが最終戦となる、この馬の大逃げに賭けたいと思います。中山2,500mは最高の舞台。16着もありますが、1着もありうるのはこの馬だけと思っています。○:タップダンスシチー。
3番手は、昨年の菊花賞馬に期待しましょうか。昨年は菊花賞からジャパンカップを使っての強行軍で5着に来ました。今年はGIIを2戦使っての参戦。叩き3戦目のこの舞台は合うと思います。ジャパンカップを使った馬は消耗確実。ここはチャンスかもしれません。▲:デルタブルース。
ラインクラフト、スイープトウショウと牝馬が大活躍の2005年。この馬も牡馬相手に秋の天皇賞を勝ちました。世相を反映する結果も多い有馬記念、4番手はこの馬に期待します。△:ヘヴンリーロマンス。―――札幌記念でお世話になった思いもこめて。
最後に、2005年条件戦から力をつけ、ついに前走で重賞を制覇したこの馬を押さえます。3年前のタップダンスシチーが表舞台に認められたのは、この有馬記念でした。×:グラスボンバー。一発はこの馬に託します。
余談ですが、大外さえ引かなければオースミハルカを推せたのですが…自分の中では6番手ですね。
2005年を締めくくる最後の馬連の狙い目は次の5通り。相性の悪いレースですが、今年こそは当てたいです!
6-7 | 1000000pts |
6-8 | 1000000pts |
6-9 | 1500000pts |
6-15 | 1000000pts |
9-15 | 500000pts |
12月25日、中山9レース。レース自体が、最高のクリスマスプレゼントになりますように。
無敗の三冠馬と、歴戦の古馬の対決。
前者に分があると、信じて疑わなかった、レース前。
ゲートが開いて思い思いの位置で競馬をする16頭。
4度目の有馬もハナに立ったタップダンスシチー。
2番手で折り合って追走するオースミハルカ。
前目につけたコスモバルク、コイントス。
中団からヘヴンリーロマンス、リンカーン。その後ろにゼンノロブロイ。
そして、さらに後ろからディープインパクト。
しかし…そのディープインパクトの近くにいるはずの馬―――
いつもは後ろから競馬をするはずのハーツクライの姿は無し。
いや、いた。何と、前から3番手。
思えば、この先行策こそが、有馬記念の結末を握る鍵でした。
1週目のスタンド。1コーナーから2コーナー。向こう正面。
位置取りを上げるディープインパクト。
相変わらず3番手のハーツクライ。
3コーナーから4コーナー。
一気に捲くって先団に取り付くディープインパクト。
タップダンスシチーを一気に捕らえ、2番手に踊り出たハーツクライ。
違う。何かが違う。
多くのファンが、そして自分が描いていた、第50回有馬記念の直線。
伸びを欠くゼンノロブロイ。
一方で、先頭のコスモバルクを捕らえ、脚色衰えることなく後続を突き放すハーツクライ。
必死に食らいつくコスモバルク、そしてリンカーン。
外から追い込むディープインパクト。
本当ならば、ここから内の馬を千切って圧勝。ディープインパクトの勝ちパターン。
しかし――――
その追い込みは「飛ぶような」走りではなく、普通の馬の走り。
精彩を欠いていたのは明らかでした。
それでも、前にいたリンカーンをかわして2番手に躍り出たディープインパクト。
しかし、先頭のハーツクライを捕らえられぬまま、ゴール板の前を通過。
それは、無敗の三冠馬が「無敗」で無くなった瞬間でした。
思い返せば、極限を越えたジャパンカップでレコード決着の2着。
どの現役古馬よりも力のポテンシャルは上だったはずです。
しかし、直線の短い中山。追い込み脚質を嫌い、余裕の無印。
陣営も中山での追い込みには不安を感じていたはずです。
「勝ちたい」
そのためにC.ルメール騎手の出した結論は、追い込み馬を先行させる「奇策」でした。
そして、それはグランプリの舞台で実を結び
無敗の三冠馬に勝利という、大金星につながりました。
私事ですが、1年前、自分の見ていた有馬記念で
馬群から大きく離れた最後方を追走するハーツクライに
隣で見ていたオジサンが野次を飛ばしていたのを覚えています。
あの3歳秋は、驚異的なハイペースとなったダービーの反動を引きずり
大きなスランプの時期でした。
それが1年経てば、見ての通りの強い競馬。
今年はここまで、2着、5着、2着、6着、2着。
得意な舞台なら惜しい2着。
苦手な距離や苦手な展開でもそれなりの成績を残していました。
これこそが、本当のハーツクライの実力だったのだと思います。
来年、5歳となって、次は挑戦を受ける立場の競馬になります。
三冠馬ディープインパクトに土をつけた(現時点で)唯一の馬として
今度は迎え撃つ側としての活躍を期待したいと思います。
そして、敗れたディープインパクト。
思い返せば、弾けないディープインパクトを見たのは、2度目。
勝つには勝ったものの、見た目はクビ差の辛勝だった、弥生賞以来。
中山競馬場の相性なのか。
デビュー以来最低の馬体重だったように、調子落ちだったのか。
古馬の見えないプレッシャーに負けてしまったのか。
いずれにせよ、これで終わったと思いたくありません。
今度は自身が古馬となります。
天皇賞で、宝塚記念であの強さを見せてほしいです。
この有馬記念を最後に、競馬を支えてきた多くの馬たちが引退を迎えます。
夏に本格化して、天覧競馬で輝きを見せたヘヴンリーロマンス。
屈腱炎を抱えながら、古馬の王道GI5レースを完走。そしてGIIを2勝したサンライズペガサス。
この馬、陣営の頑張りを他にも見習って欲しいです。
苦戦を続ける2000年生まれ世代でただ1頭、屋台骨として安定した活躍を続けてきたゼンノロブロイ。
そして、真っ向からの逃げで勝負し続けたタップダンスシチー。
3年前、初めて有馬に登場したときは14頭中、13番人気の低評価でした。
ファインモーション、ジャングルポケットらGIホースを差し置いての
驚異的な逃げ粘りが、ついこの間のように思えます。
パドックの横断幕「タップがいるから有馬が楽しい。」
引退となった今だからこそ、重みのある言葉です。
本当に、お疲れ様でした。
最後に、予想については、やはりというか何というか
今年の有馬も推奨馬を撃沈させたのだけは変わりませんでした。
無敗の三冠馬ディープインパクトさえも2着に敗退。
他の馬も綺麗に掲示板を外しました。
一時期は軌道に乗っていた予想でしたが。
ここでリバースゴッドの本領発揮。
有馬的中への道は果てしなく険しいです。
着順 | 馬番 | 馬名 | Kogaマーク予想 |
---|---|---|---|
1 | 10 | ハーツクライ | |
2 | 6 | ディープインパクト | ◎ |
3 | 14 | リンカーン |
正解:馬連 6-10 7.5倍 | |||
---|---|---|---|
6-7 | 1000000pts→0pts | ||
6-8 | 1000000pts→0pts | ||
6-9 | 1500000pts→0pts | ||
6-15 | 1000000pts→0pts | ||
9-15 | 500000pts→0pts | ||
残り:754,000pts | |||
回収率:276.1% |
最後に2005年度を振り返って―――有馬記念でディープインパクトを沈没させるという大チョンボをやったものの、全体としては(ディープインパクト三冠があったとはいえ)本命1着が年間8回、当たり勝ち4レースがあり充実した1年だったと思います。阪神JFでは、コーナー開始以来初の「GI万馬券的中」を達成し、ポイント回収率276%の原動力となりました。雨の中、眼前で見ていたレースだけに、印象に残っています。
2006年は、上半期で4勝、下半期で4勝ぐらいできたらと思っています。新GI「ヴィクトリアマイル」も予想します。今後ともよろしくお願いします。